加入者の相談に応じ、年金記録のミスを訂正するのに大量の職員が必要になり、保険料徴収業務が滞り始めているというのである。 2007年度から強化する予定だった滞納者の資産差し押さえも、実施が困難な状況だという。
したがって、8割という目標達成のメドは、まったく立たなくなった。 不足分をサラリーマンが補填しているそれに、目標が8割でしかないことが、そもそもおかしい。

本来であれば、10割を徴収できなければ、制度は破綻するはずだ。 なぜ8割でよいのか?この答えは簡単だ。
不足分をサラリーマンが補填しているのである。 こうなる理由は、基礎年金の給付に要する費用を、各制度の加入者数で按分していないからだ。
按分の際に用いられるのは、厚生年金や共済年金などの被用者年金については保険料を本来支払うべき者の数だが、国民年金については、保険料を実際に納付した者の数である。 だから、徴収率が落ちれば、被用者年金の負担は増えるが、国民年金の負担は増えない。
この仕組みは、いかにもおかしい。 それにもかかわらず、サラリーマンからは、怒りの声が聞こえてこない。
「保険料は天引きだから、怒ったところでしょうがなどと諦めているからだろうか。 また、以上で述べた分担の仕組みがわかりにくいものなので、国民年金の尻ぬぐいをしているという事実を認識できないからかもしれない。
国民年金保険料徴収率の問題について、私はこれまでもさまざまなところで書いてきたのだが、ここで再び述べたい。 私が強調したいのは、6割しか徴収できないにもかかわらず、制度が破綻していないという事実である。
なんとも不可思議なことだ。 常識的に考えれば、入るべき保険料の6割しか徴収できないのだから、収入総額を確保するためには、国民年金の保険料を約1.7倍に引き上げなければならない。
そんな措置はまったく採られていない。 もう1つの理由は、国がつくった制度に対する漠然とした信頼感だろう。
「国がそんなに馬鹿げたことを制度化しているはずはない」という思いである。 今回の記録問題で、保険料徴収体制が信じられないほどズサンであることが、白日の下にさらけ出された。
「年金を信頼することなどできない」と日本国民は思い知った。 ズサンなのは、執行の実態だけではないのだ。

制度そのものが、信じられないほどおかしいのである。 以上で述べた負担分担問題はその一部にすぎない。
国民年金は、発足当時から制度維持が危ぶまれた制度である。

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